2018年02月28日

遺言の新しいかたち

みなさんこんにちは、司法書士の土田です。


今月上旬に降った大雪の爪痕が残る中、224の土曜日、福井商工会議所へ研修を受けに行ってきました。

内容は、第1部が「民法(相続関係)の改正について」、第2部が「相続登記未了問題など司法書士が取り組むべき喫緊の課題」。

4時間みっちりのコースでした。

この中でも、皆さんに直接且つ身近に関係がある内容は「遺言制度に関する見直し」でしたね。


現在、遺言の中でも最も利用されていると思われるものは自筆証書(ジヒツショウショ)遺言というものです。

これは、遺言者が自分で遺言を作成するというものです。


しかしこれ、一見簡単なようで、法律的には難しい点があるのです。

全文を自書しなければならない、訂正方法が厳格、遺言者が死亡した際には裁判所での検認が必要、などなど…。詳しい説明は省きますが、これらの要件が満たされていないと、法律的に認められない危険性が高いのです。


けれども、今回の改正案ではこれらの要件が一部緩和されています。

例えば、遺言に目録を添付する時には、自書しなくてよい点。

遺言の目録については、パソコンで作成したがOKだったり、あるいは預金通帳や登記事項証明書(旧称:登記簿謄本)のコピーを添付したりでよいということです。これだと遺言の作成がグッと楽になりますよね。どこの口座のお金とか不動産とかが明確にもなりますし。


またその他にも、自筆証書遺言の保管制度というものも創設されそうです。


これまでの自筆証書遺言は、自分で作成して自分で保管、あるいは信頼できる人や金庫等に預けておくという方法が一般的でした。でもこれだと、遺言者が死亡した際に、遺言そのものが見つからなかったり、先に見つけた相続人が「自分に不利な内容だ」として隠してしまったり廃棄してしまったりという危険性がありました。


でも、今回の改正案では、この自筆証書遺言を法務局で保管し、最終的には相続人が検索できたりするといった仕組みが設けられるようです。今で言うところの公正証書遺言の仕組みのようなものでしょうか。

この仕組みを利用すると、裁判所の検認も不要となるようです。

この仕組を利用すれば、現在よりも利便性が良くなるような気もします。


これら改正案の細かいことは、まだまだこれから出てくるものと思われますが、まずは制度のあらましや、その他司法書士としての課題などを勉強した一日となりました。


法律も、税制も最近は改正が沢山あります!


我々サムライアライアンスのメンバーも、専門家でありながら一生懸命勉強しています。

何か困ったことがあればご相談くださいね。

posted by サムライアライアンス at 13:21| Comment(0) | 司法書士の土田

2018年02月14日

大雪における遅刻や休業の取り扱い

社労士の今井です。
2月初旬より昨日まで、福井県では記録的な豪雪になりました。
まずは除雪作業中や渋滞中に亡くなられた方、お怪我をされた方など
お見舞い申し上げます。

一旦、本日以降は大雪も落ち着くと思われますが
道路は通行困難な場所が多く残っておりますので引き続き警戒が必要です。

今回の大雪で企業の勤務対応も、休業や勤務開始時間の変更など様々でした。

まず、通勤において通常なら車で30分程度で来れる場所が3時間かかったり、
あるいは雪のため車が出せず徒歩で出勤したりということが多くあったと思います。

【遅刻の場合の取り扱い】
この場合の遅刻に対する取り扱いですが、原則としては就業規則によります。
電車など公共交通機関を利用している場合は、就業規則に
「遅延証明書等を提出することで遅刻扱いとしない」としているケースが多いです。

ただ、福井の場合はほとんどの方が車通勤になるため、
今回のようなケースは明確に就業規則に規定していないことが多く、
その都度各企業の判断によります。

やむを得ない事由ととらえ、2/6〜2/14までの遅刻は1時間以内であれば控除しない、
とする会社もあれば、
遠方からでも渋滞を見越して朝5時に除雪して家を出て
定時に出勤している社員もいるから、やはり遅刻した社員とは差をつけたい、という意味で
遅刻を控除する会社など、色々な対応が考えられます。


【会社を休業した場合】
会社の営業自体は可能であったが、会社側の配慮等で
全社的に休業した場合、あるいは部署ごと、個人単位であっても
“会社側から”出勤を要しないと伝えた場合は、
「使用者の責に帰すべき休業」になるため、労働基準法第26条による「休業手当」が必要になります。

休業手当は以下の計算式によります。

算定事由発生日以前3ヶ月間の賃金の総額÷その期間中の総日数×60%

仮に末締めで給与総支給が11月分215000円、12月分205000円、1月分210000円の場合、
630000円÷92日×60%=4109円 が1日の休業手当額になります。

ただ、このような計算を一人一人していくことも煩雑であり、
「特別休暇」として給与を全額支給するケースも多いと思われます。

なお、会社都合の休業であるにも関わらず、
本人の年次有給休暇を消化させることは問題となります。

年次有給休暇は「会社の所定勤務日」において使用するもののため、
会社休業日には使えません。

また、会社の所定勤務日であっても年次有給休暇は
原則として事前に各従業員に確認し、
本人の意思により取得してもらうことが必要となります。

【会社が営業不可だった場合】
大雪等の天災により営業に必要な製品の仕入や納入が出来なかったり、
会社の施設が欠損して営業が不可能であったための休業などは
「天災事変等の不可抗力」とみなされ、上記の使用者の責に帰すべき事由に当たらず、
会社は休業手当の支払義務がなくなります。

これに該当するかは様々な要因を考慮しないといけませんが、
こちらを適用させる場合は休業期間中、給与がカットされることになるため、
従業員にとっては著しく不利益になります。
もしこちらを考慮する場合は慎重な話し合いが必要になります。

他にも今回の大雪に対しては様々な労務管理上の問題が発生するかと
思われますが、災害による非常事態であると捉え
企業としては寛大な対応が求められると思います。

posted by サムライアライアンス at 10:16| Comment(0) | 社労士の今井