2016年10月31日

組織 〜官僚制について〜

こんにちは!中小企業診断士の吉村です。

昨今、自動車会社による燃費測定の不正や、某市場の盛り土問題など、大きな企業、組織が、とんでもない事態を引き起こすことが目立ってきています。

そこで、今回は官僚制について簡単に述べたいと思います。

官僚制とは、別に政府や役所に限って存在する組織ではなく、「○○部長」や「○○委員長」などのヒエラルキー(階層)を持った組織に多く存在するシステムです。

具体的な特徴としては、社会学者マックス・ウェーバーによって、以下のようなものが指摘されています。


1.規則による規律の原則 … 業務が客観敵に確立された規則に拠って行われること

2.権限の原則 … 業務が、規則によって定められた明確な権限の範囲内で行われているということ

3.階層構造の原則 … 上下の指揮命令系統がに一元的に確立されているということ

4.行政手段の分離の原則 … 組織の所有物と職員の私有物とは完全に区分されるということ

5.官職占有排除の原則 … 特定の人による職位の占有を認めないということ

6.文書主義の原則 … 業務上の決定や処分、指令などはすべて文書の形で表示され、記録・保存されるということ

7.任命制の原則 … 職員は選挙で選ばれるのではなく、任命によって選ばれるということ

8.契約制の原則 … 職員の身分は契約によって生じ、規則に定められた職務に関してのみ上級者の命令に服するということ

9.資格任用制の原則 … 職員の採用は一定の資格の有無に基づいてなされるということ

10.貨幣定額俸給制の原則 … 職員は労働の対価を定額の貨幣で受け取るということ

11.専業制の原則 … 職員はその業務に専念するということ

12.規律ある昇任制の原則 … 職員の昇給は在職年数、業務成績によって行われるということ


難しくズラズラと書いてありますが、どうですか?

流し読みして頂いても「確かにウチの会社もこうだなぁ」と思われる点が多いのではないでしょうか?


近代官僚制を研究したマックス・ウェーバーも指摘している通り、官僚制自体は権限や職務の定義が明確で、かつ決定事項や命令が上層部から末端まで素早く、正確に伝わりやすいという大変合理的で、機能的なシステムです。多くの組織がこのシステムのお蔭で、持てる機能を充分に発揮できているのではないでしょうか?


しかし、一方で、社会学者ロバート・キング・マートンらによって、官僚制が持つ機能や特徴が悪い方に働いて、以下のようなことが起こることが指摘されています。それは


A.規則万能 … 規則に定められているかいないかで対応が決まってしまう、杓子定規な対応

B.責任回避・自己保身 … 事なかれ主義

C.秘密主義

D.前例主義による保守的傾向 … 自分から変化や改革を起こさず、前例に従おうとする傾向

E.画一的傾向 … 例外的な対応をよしとしない傾向

F.権威主義的傾向 … つっけんどん、居丈高、冷淡な対応

G.繁文縟礼(はんぶんじょくれい) … 規則や規律か細かすぎ、またそれに伴う申請書・稟議書・報告書などの文書も膨大であること

H.セクショナリズム … 縦割り政治、専門外の仕事を避ける、自組織の増大・強化が目的になってしまうこと


このようなことです。

これもみなさん心当たりがあるのではないでしょうか?

「それはウチの管轄じゃないよ」と言われたりとか

「もうすぐ期末だから経費の予算を使い切ってしまおう」とか

上司に判断を求めてもはぐらかされてなかなか決めてくれないとか

逆に上司に命令されたら、シロでもクロと言わないといけなかったり、

内部稟議や報告、根回しのための事務仕事や社内政治に多くの時間を取られ、ちっともお客様のところへ行く時間がないとか。


これらの現象を「官僚制の逆機能」といいます。


組織が大きくなるにしたがって、この官僚制の逆機能はどんどん加速していきます。

最初は高い志を持って組織に入ってきた方でも、大半の方が、完全に構築された官僚制のシステムの規模、堅牢さ、パワーの大きさに圧倒され、

またその逆機能が、とても自分一人の力ではどうしようもないことを実感して、

いつしか、「官僚制の逆機能」について「よくないことだ」と感じることもなくなってしまう…

こんなことがよくあります。

昨今の一連の騒動も、この「官僚制の逆機能」が大きく影響していることは火を見るよりも明らかですね…


「ウチの上司は偉そうなクセに、保守的で、僕ら部下の意見を聞いてくれない」

こんなことを思うことも多いと思うのですが、それは往々にして上司の人間性に問題があるのではなく、その会社が、悪い意味で「官僚化」してしまっているため、そのような上司を大量生産してしまうことに問題があるのです。


現場の個々人の才能や努力ではなく、経営者が「官僚化」を防ぐ努力をする必要があるのです。


しかし、「官僚制の逆機能」を完全に取り除くのは非常に難しいことです。

官僚制の優れた機能を追求すればするほど、「逆機能」の方もさらに進化していくのです。

社長一人が決定権限者になって、他のみんなは全員社長の指示・命令に従うという、「文鎮型」の組織であれば官僚化は起こりにくいですが、そんな組織では社長の能力や価値観を超えることはなく、組織のダイナミズムが発揮できません。


そのため、

さまざまな企業が、

部署横断的なワーキンググループを作ったり、

部署間で交換留学生のような制度を作ったり、

官僚化しない程度の小グループに分け、利益や生産性といった、合理的な指標で評価したり、

果ては部長のような役職を任期制にして、一定期間や一定業務が済んだら、一旦役職を降りて貰うとか、

本当にさまざまな方法・アプローチで、この「官僚制の逆機能」と闘っておられます。


「官僚制の逆機能」を排除するのは、それだけ大変で、努力が必要で、かつ明確な答えがないことの証拠です。


このブログをお読みの方、特に組織の上層部におられる方は、


どんな組織も、自然放置すれば必ず「官僚化」する


組織は「官僚化」へ向かう、下りのエスカレーターに乗っているのだ


ということをご認識頂き、その排除のため、絶えまぬ努力をして頂けましたら幸いです。

posted by サムライアライアンス at 06:19| Comment(0) | 中小企業診断士の吉村

2016年10月04日

【宣伝】今週は人権擁護大会です

みなさんこんにちは
弁護士の神田です。

今週6日(木)、7日(金)に福井市にて「日弁連人権擁護大会」が開催されます!
どんなものかというと、弁護士が日ごろ研究議論している問題について、
まとめた成果を発表したり、「宣言」などとして提言していく場です。
毎年1000人以上の弁護士が参加する日弁連最大のイベントです。
6日(木)午後から開催されるシンポジウムは、どなたでもご覧いただけます。
テーマは3つあり、
 第1分科会が、立憲主義
 第2分科会が、主権者教育
 第3分科会が、死刑
にそれぞれ関するものです。
第1分科会では、ニュース解説等でおなじみの岸井成格氏の基調講演、
ザ・ニュースペーパーによる風刺のきいたコントなどがあります。
第2分科会では、県立勝山高校の生徒さんらによる実際の模擬授業が行われます。
第3分科会については、既に一部マスコミ等で賛否両論報道されているところで関心が高まっています。
お時間ある方はぜひお越しください。
詳しい内容は下記日弁連HPからご覧ください。
http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/organization/event/jinken_taikai/gyoji_jinken2016.html

台風が心配。。。


posted by サムライアライアンス at 21:27| Comment(0) | 弁護士の神田